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業務と観光を併せて行った海外渡航費を活用した節税
2015年5月23日
【業界視察などの海外旅行に参加】海外での業界視察を行うため、同業者団体が主催する旅行に参加することがあります。 旅行の日程を見ると、観光の部分と、業務の部分があります。このような場合、社長に支給する渡航費用(旅費規程にもとづく航空運賃、日当、宿泊費および仕度金の税務上の取扱いについてです。 海外渡航費用を業務の部分と観光の部分に区分して、業務の部分は損金、観光の部分は社長に対する給与(賞与・損金不算入)となります。 海外渡航費の税務上の取扱いは、基本的に国内の出張に伴う旅費と同じものです。そのため、海外渡航が会社の業務の遂行上必要なものであり、そのために会社が負担する金額が通常必要と認められる範囲内のものである場合には、旅費として全額損金となります。
【会社の業務と観光を併せて行く場合】このように業務と観光を併せて行く場合には、業務の遂行のための期間と、それ以外の期間との比(業務従事割合)等により渡航費用を合理的に按分して、業務遂行対応部分は損金、それ以外は給与(賞与)として取り扱われています。
【注意点】1.海外渡航費用の処理にあたっては、次に掲げる事項を具体的に説明する書類その他参考となる資料に基づいて、海外視察の必要性、参加者の役職、業務関連性等を検討する必要があります。特に海外渡航費は金額的に多額となるケースもあるので注意が必要です。 ①団体旅行の主催者、その名称、旅行目的、旅行日程、参加費用の額等その旅行の内容 ②参加者の氏名、役職、住所
【海外渡航時に同伴者がいる場合】海外出張時に、社長が配偶者、親族等を同行するようなケースもあります。その場合の海外渡航費用については、その同伴者が次に掲げる場合のように明らかにその海外渡航の目的を達成するために必要な同伴と認められるときは、その旅行について通常必要と認められる費用の額は、損金となります。 1.その役員が常時補佐を必要とする身体障害者であるため、補佐人を同伴する場合 2.国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合 3.その旅行の目的を達成するため、外国語に堪能な者または、高度な専門知識を有する者を必要とする場合に、適任者が法人の従業員のなかにいないため、その役員の親族または、臨時に委嘱した者を同伴する場合 |
【参考:海外渡航費 基本通達】9-7-6 法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費(仕度金を含む。以下この款において同じ。)は、その海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経理を認める。したがって、法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、当該役員又は使用人に対する給与とする。 (注) その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として経理することができる。 【業務の遂行上必要な海外渡航の判定】9-7-7 法人の役員又は使用人の海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するものとするが、次に掲げる旅行は、原則として法人の業務の遂行上必要な海外渡航に該当しないものとする。 (1) 観光渡航の許可を得て行う旅行 (2) 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行 (3) 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの 【同伴者の旅費】9-7-8 法人の役員が法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航に際し、その親族又はその業務に常時従事していない者を同伴した場合において、その同伴者に係る旅費を法人が負担したときは、その旅費はその役員に対する給与とする。ただし、その同伴が例えば次に掲げる場合のように、明らかにその海外渡航の目的を達成するために必要な同伴と認められるときは、その旅行について通常必要と認められる費用の額は、この限りでない。 (1) その役員が常時補佐を必要とする身体障害者であるため補佐人を同伴する場合 (2) 国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合 (3) その旅行の目的を遂行するため外国語に堪能な者又は高度の専門的知識を有する者を必要とするような場合に、適任者が法人の使用人のうちにいないためその役員の親族又は臨時に委嘱した者を同伴するとき 【業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行った場合の旅費】9-7-9 法人の役員又は使用人が海外渡航をした場合において、その海外渡航の旅行期間にわたり法人の業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行ったものであるときは、その海外渡航に際して支給する旅費を法人の業務の遂行上必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比等によりあん分し、法人の業務の遂行上必要と認められない旅行に係る部分の金額については、当該役員又は使用人に対する給与とする。 ただし、海外渡航の直接の動機が特定の取引先との商談、契約の締結等法人の業務の遂行のためであり、その海外渡航を機会に観光を併せて行うものである場合には、その往復の旅費(当該取引先の所在地等その業務を遂行する場所までのものに限る。)は、法人の業務の遂行上必要と認められるものとして、その海外渡航に際して支給する旅費の額から控除した残額につき本文の規定を適用する。
【業務の遂行上必要と認められない海外渡航の旅費の特例】9-7-10 法人の役員又は使用人の海外渡航が9-7-7に掲げる旅行に該当する場合であっても、その海外渡航の旅行期間内における旅行先、行った仕事の内容等からみて法人の業務にとって直接関連のあるものがあると認められるときは、法人の支給するその海外渡航に要する旅費のうち、法人の業務にとって直接関連のある部分の旅行について直接要した費用の額は、旅費として損金の額に算入する。 |