お役立ち情報

減価償却資産か非減価償却資産|美術品等の取り扱い

2015年6月16日

【美術品等の取り扱い】

減価償却資産とは、『時の経過により価値が減少することが明らかなもの』です。

したがって、『時の経過により価値の減少しない資産』に該当するものは、減価償却資産にはあたらないとされてきました。

 

企業が応接スペース等の装飾用に美術品等を取得されるケースがありますが、平成26年12月の通達の改正により、「時の経過により価値の減少しない資産」の範囲の見直しが行われました。

この通達の改正により、美術品等を減価償却資産とすることができるケースが今後も増えるものと考えられます。

改正通達では、

1.「不特定多数の者が利用する場所に無料で展示等されていて、移設困難、かつ、他の用途の転用した場合に美術品等としての市場価値が見込めないもの」は、『時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの』の含まれるとされています。

2.また、改正通達では、取得価額が100万円以上であっても、『時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの』は、非減価償却資産から除くとされています。

3.さらに、改正通達では、美術関係の年鑑等に登載されている作者の作品かどうかは判断基準から削除されました。

例)

本社新社屋のロビーの壁面のサイズに合わせて特注で作った彫刻品などは、他の用途への転用や移設ができたとしても、美術品等として市場価値は見込めません。したがって、取得100万円以上である場合でも減価償却資産として認められる可能性が高いです。

時の経過により価値が減少するか否かは、形式的ではなく実質での判断が必要になりますので、現物の設置状況をしっかり確認してから判断する必要があります。

【法人税法基本通達7-1-1】

(美術品等についての減価償却資産の判定)

7-1-1 「時の経過によりその価値の減少しない資産」は減価償却資産に該当しないこととされているが、次に掲げる美術品等は「時の経過によりその価値の減少しない資産」と取り扱う。(昭55年直法2-8「十九」、平元年直法2-7「二」、平26年課法2-12「一」により改正)

  • (1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
  • (2) (1)以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く。)
  • (注) 1 時の経過によりその価値が減少することが明らかなものには、例えば、会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として法人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものが含まれる。
  • 2 取得価額が1点100万円未満であるもの(時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものを除く。)は減価償却資産と取り扱う。

 

 

>お役立ち情報トップへ

△ページトップへ