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デット・エクイティ・スワップDES|債務(役員借入金)の株式化|会社に貸している社長の貸付金の取り扱い
2015年8月1日中小企業は、代表である社長が会社へお金を貸し付けているケースが多くあります。
決算書上には、「役員借入金」として計上されています。
決算書の負債(貸方)に「役員借入金」という科目が計上されていませんか?
会計事務所のやり方によっては、長期借入金や短期借入金の中に紛れ込んでいる場合もあります。
【役員(社長)借入金の解消】1.社長借入金を免除してもらう会社と社長個人の契約において、社長からの借入金(負債)を免除してもらいます。 その際会社側では債務免除益という収益が計上されるので、それに対する税金を納税する必要が出てきます。 そして債務免除を行ったの結果、債務超過ではなくなり一株当たりの株価が増加すれば、株主への贈与の問題も生じてきます。
2.役員給与を減らして返済を行う社長の役員報酬を減額してその分を借入金返済の原資とします。 ただし借入金の返済については経費になりませんので、役員報酬を減らした分だけ会社の利益が増加することになります。
3.役員借入金(社長からの借入金)を資本金へ振り替えを行うデット・エクイティ・スワップDES 債務の株式化 社長借入金を現物出資という形で資本金に振り替えます。 会社から見ると、負債が株式へ振りかわります。 この負債の株式化のことを、デットエクイティスワップといいます。 通常、頭文字をとってDESと言われています。 DESを実施すると、貸付金は、株式へ転換しますので、株式として評価されます。 負債が自己資本となるので自己資本率が一気に増加します。 また役員借入金(社長から見れば会社への貸付金)の相続財産としての評価は帳簿価額です。 これを資本金に振り替えることにより、相続時は株式として評価することになります。 デメリットとしては資本金が増加するので、場合によっては、法人税の均等割額の増加や外形標準課税の対象になるなど増税の可能性があります。 また、借入から資本への組み替え時の方法によっては債務免除益や贈与税課税の問題も出てきます。
中小企業の場合、資金繰りが悪化した際、代表者である社長が私財を会社へ提供することはめずらしいことではありません。 従来、DESは裁判所の選任した検査役の検査が必要で手続きが煩雑でした。 そのため、実行されることはほとんどありませんでした。 しかし、現在の会社法では、借入金の返済期日が経過しており、かつ、借入金額以下で現物出資をする場合には、検査役の検査も、税理士等の証明も不要になりました。 そのためにDESはとても実行しやくなりました。 社長の財産の中に会社への貸付金がある場合には、DESも検討してみてはいかがでしょうか。
【DES-税法上の注意点】 DESを実施する場合には、債務は時価評価されます。 この場合の時価は、合理的に見積もられた回収可能額に基づき評価されます。 回収可能額が、貸付金の額面額を下回る場合には、債務免除益が生じます。 仮に債務免除益が繰越欠損金と相殺しきれない場合には、課税所得が生じますので注意が必要です。 単純に役員借入金の金額をそのまま資本金に振り替えるわけではありません。 例えば社長から5,000万円を借りている場合は、 法人税が課税されることになります。要するに、 「債務免除益として収益計上され、法人税が課税されては困るし、役員 1.会社で5,000万円の増資を決定する。 2. 3.会社は払い込まれた5,000万円で社長借入金5,000万円を返済する。⇒(借方:役員借入金/現金預金) 4.社長は会社から返済を受けた5,000万円を銀行へ返済する。 5.その という手続きを取ります。 相続税の心配をしていた5,000万円の役員借入金(社長個人側から見れば会社への貸付金)は、自社株式に振替られる結果となります。
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