お役立ち情報

社宅制度の税務上の処理|従業員や役員の社宅

2015年8月23日

福利厚生の目的で、社宅制度を導入する会社もあります。

賃貸住宅を会社で契約し、従業員は家賃の半分を負担します。

従業員が給与課税を受けないための家賃負担分は、実際家賃の半額以上で借り受ける必要があります。

【従業員に対する住宅の貸付の場合】

社宅制度を導入する場合、税務上、従業員から負担してもらう家賃の適正額が次の算式のように規定されています。

この適正額以上で賃貸料を設定していれば、基本的に課税上の問題はありません。

(実務的には、従業員が負担している額が、この適正額の50%以上である場合は、給与課税されません。)

これは、会社が所有社宅を賃貸するケースでも会社が他から賃借し、また貸しするケースでも同様です。

 

《賃貸料の適正額/月額》

(その年度の家屋の固定資産税の課税標準額)×0.2%+(12円×家屋の総床面積㎡÷3.3㎡)+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

 

【役員に対する住宅の貸付の場合】

会社が役員に対して住宅を賃貸する場合の適正額は次のとおりです。

これらの適正額に比較して、実際の賃貸料が低い場合は、役員に対する給与となりますので、注意が必要です。

 

《賃貸料の適正額/月額》

1.一般の場合

(その年度の家屋の固定資産税の課税標準額)×12%+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

※注 木造家屋以外の家屋(法定耐用年数が30年を超える住宅用建物)は10%とします。

※注 家屋のみ又は敷地のみを賃貸したときは、その家屋のみ又は敷地のみについてこの計算をします。

※注 借り上げ住宅の場合は、上記の算式により計算した金額と支払い賃借料の50%相当額のいずれか高い方の金額になります。

 

2.小規模住宅の場合

(その年度の家屋の固定資産税の課税標準額)×0.2%+(12円×家屋の総床面積㎡÷3.3㎡)+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

※注 小規模住宅とは、木造家屋の場合は、132㎡以下、木造家屋以外の場合は99㎡以下のものをいいます。

※注 敷地だけを賃貸したときには、この取扱いは適用されません。

※注 マンション等が小規模住宅かどうかは共有部分を含めて判定します。

 

【家賃を計算するにあたっての注意点】

1.賃貸した社宅が、一棟の建物の一部の場合は、固定資産税の課税標準を賃貸している部分とそれ以外の部分に分けて計算します。

2.固定資産税の課税標準額は、小規模住宅用地の特例等により減額されるケースがありますが、その減額後の価額を基に計算します。

3.住宅を年の途中で新築した場合のように固定資産税の課税標準額が定められていないときは、その住宅と類似する住宅の固定資産税の課税標準額の比準価額によります。

4.公的使用部分がある住宅は、その使用状況を考慮して賃貸料の額を定めますが、前述の計算式によって計算した賃貸料の70%以上を賃貸料としているときは、それが認められます。

5.一般に豪華住宅といわれている次の社宅の場合、賃貸料は通常支払われるべき金額である必要があります。

ここで通常支払われるべき金額とは、いわゆる市場価格をいいます(不動産鑑定士や不動産業者等に確認する必要があります)。

《豪華社宅》

豪華社宅に該当するかどうかの判定は、床面積が240㎡を超えるかどうか、あるいは、その住宅の内外装、設備等の状況だけでなく取得価額や支払い賃貸料の額等を総合勘案して行われます。

また、家屋の床面積が240㎡以下のものであっても、一般に貸与されている住宅等にないプール等の設備や嗜好性の高い施設等があるものについては、豪華社宅として取り扱われます。

 

【参考:役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算】

36-40 使用者(国、地方公共団体その他これらに準ずる法人(以下36-45においてこれらを「公共法人等」という。)を除く。

以下36-44までにおいて同じ。)がその役員に対して貸与した住宅等(当該役員の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-44までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額(月額をいう。以下36-48までにおいて同じ。)は、次に掲げる算式により計算した金額(使用者が他から借り受けて貸与した住宅等で当該使用者の支払う賃借料の額の50%に相当する金額が当該算式により計算した金額を超えるものについては、その50%に相当する金額)とする。ただし、36-41に定める住宅等については、この限りでない。

役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の算式

(注)

1 家屋だけ又は敷地だけを貸与した場合には、その家屋だけ又は敷地だけについて上記の取扱いを適用する。

2 上記の算式中「木造家屋以外の家屋」とは、耐用年数省令別表第1に規定する耐用年数が30年を超える住宅用の建物をいい、木造家屋とは、当該耐用年数が30年以下の住宅用の建物をいう(以下36-41において同じ。)。

【参考:小規模住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算】

36-41 36-40の住宅等のうち、その貸与した家屋の床面積(2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分の床面積。以下この項において同じ。)が132平方メ-トル(木造家屋以外の家屋については99平方メ-トル)以下であるものに係る通常の賃貸料の額は、36-40にかかわらず、次に掲げる算式により計算した金額とする。

小規模住宅等に係る通常の賃貸料の額の算式

(注) 敷地だけを貸与した場合には、この取扱いは適用しないことに留意する。

【参考:通常の賃貸料の額の計算に関する細目】

36-42 36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算するに当たり、次に掲げる場合には、それぞれ次による。

(1) 例えば、その貸与した家屋が1棟の建物の一部である場合又はその貸与した敷地が1筆の土地の一部である場合のように、固定資産税の課税標準額がその貸与した家屋又は敷地以外の部分を含めて決定されている場合 当該課税標準額(36-41により計算する場合にあっては、当該課税標準額及び当該建物の全部の床面積)を基として求めた通常の賃貸料の額をその建物又は土地の状況に応じて合理的にあん分するなどにより、その貸与した家屋又は敷地に対応する通常の賃貸料の額を計算する。

(2) その住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合 その改訂後の課税標準額に係る固定資産税の第1期の納期限の属する月の翌月分から、その改訂後の課税標準額を基として計算する。

(3) その住宅等が年の中途で新築された家屋のように固定資産税の課税標準額が定められていないものである場合 当該住宅等と状況の類似する住宅等に係る固定資産税の課税標準額に比準する価額を基として計算する。

(4) その住宅等が月の中途で役員の居住の用に供されたものである場合 その居住の用に供された日の属する月の翌月分から、役員に対して貸与した住宅等としての通常の賃貸料の額を計算する。

【参考:通常の賃貸料の額の計算の特例】

36-43 36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算する場合において、その住宅等が次に掲げるものに該当するときは、その使用の状況を考慮して通常の賃貸料の額を定めるものとする。この場合において、使用者が当該住宅等につきそれぞれの次に掲げる金額をその賃貸料の額として徴収しているときは、その徴収している金額を当該住宅等に係る通常の賃貸料の額として差し支えない。

(1) 公的使用に充てられる部分がある住宅等 36-40又は36-41により計算した通常の賃貸料の額の70%以上に相当する金額

(2) 単身赴任者のような者が一部を使用しているにすぎない住宅等 次の算式により計算した金額以上の金額

単身赴任者のような者が一部を使用しているにすぎない住宅等の通常の賃貸料の額の算式

【参考:住宅等の貸与による経済的利益の有無の判定上のプ-ル計算】

36-44 使用者が住宅等を貸与した全ての役員(令第21条4号《非課税とされる職務上必要な給付》に規定する者を除く。以下この項において同じ。)からその貸与した住宅等の状況に応じてバランスのとれた賃貸料を徴収している場合において、その徴収している賃貸料の額の合計額が役員に貸与した全ての住宅等につき36-40から36-43までにより計算した通常の賃貸料の額の合計額以上であるときは、これらの全ての役員につき住宅等の貸与による経済的利益はないものとする。

【参考:使用人に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算】

36-45 使用者が使用人(公共法人等の役員を含む。以下36-48までにおいて同じ。)に対して貸与した住宅等(当該使用人の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-48までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額は、36-41に掲げる算式により計算した金額とする。この場合において、その計算に関する細目については、36-46に該当する場合を除き、36-42の取扱いに準ずるものとする。

【参考:無償返還の届出がある場合の通常の賃貸料の額】

36-45の2 使用者が役員等に対しこれらの者の居住の用に供する家屋の敷地を貸与した場合において、法人税基本通達13-1-7の規定により当該敷地を将来当該役員等が無償で返還することとしているときは、その土地に係る通常の賃貸料の額は、36-40、36-41、36-43及び36-45にかかわらず、法人税基本通達13-1-2に定める相当の地代の額とする。

【参考:通常の賃貸料の額の改算を要しない場合】

36-46 使用者が使用人に対して貸与した住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合であっても、その改訂後の課税標準額が現に通常の賃貸料の額の計算の基礎となっている課税標準額に比し20%以内の増減にとどまるときは、現にその計算の基礎となっている課税標準額を基として36-45の取扱いを適用して差し支えない。この場合において、使用者が徴収している賃貸料の額が36-48に該当するものであるときは、使用人(令第21条第4号に規定する者を除く。以下36-48までにおいて同じ。)に貸与した全ての住宅等を一括して、又は1か所若しくは数か所の事業所等ごとの区分により、20%以内であるかどうかを判定して差し支えない。

 

【参考:徴収している賃貸料の額が通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合】

36-47 使用者が使用人に対して貸与した住宅等につき当該使用人から実際に徴収している賃貸料の額が、当該住宅につき36-45により計算した通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合には、当該使用人が住宅等の貸与により受ける経済的利益はないものとする。

 

>お役立ち情報トップへ

△ページトップへ