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未払決算賞与と未払給与の計上

2015年12月6日

 

Q.

当社は、3月末決算法人です。今期の業績が好調であるため決算賞与を支給する予定ですが、期末までに支給することができません。そのような場合でも、未払決算賞与として費用計上できるのでしょうか?

また、当社では、給与の支払を20日〆の25日支払としていますが、決算月に締めた後の給与、つまり21日から月末までの分を未払給与として費用計上できるのでしょうか?

併せて教えて下さい。

 

 

A.

未払決算賞与、未払給与については、要件を満たせば損金に計上できます。

【未払決算賞与の損金計上の要件】

本来、会社が各事業年度においてその従業員に対して支給する賞与について、その支給をした日の属する事業年度において損金の額に計上することとされています。

しかし、全ての要件を満たす賞与は、従業員にその支給額の通知をした日の属する事業年度の損金に計上できます。

① 賞与の支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての従業員に対して通知していること。

② ①の通知をした金額をその通知した全ての従業員に対してその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支払っていること

③ その支給額につき、①の通知をした日の属する事業年度において損金経理していること

 

【注意点】

 

① 後々の税務的なトラブルを避けるために、各社員ごとの法定書類である一人別源泉徴収簿、扶養控除等申告書を必ず作成し、賞与の支給明細書、銀行振込みの明細書等の証拠書類も揃えるようにしたほうがよいです。また、債務が確定した証拠として、各人ごとの支給明細書等の会社控えに各社員が確認した日と名前と認印をもらうようなことも有効であります。

② 使用人兼務役員については、他の従業員と同時期に支給することが必要です。

【退職者に賞与を支給しない場合】

未払賞与の計上にあたって、3月末までに従業員全員に支給額を通知しても、4月の賞与給与日までに退職した者には、賞与を支給しないとした場合、上記要件の①に該当しないものとされ、未払賞与の損金計上ができません。

また、結果的に退職者がいなかったため通知した金額を全額支給したケースについても、その未払賞与について損金の額に算入することはできません。

【未払給与の損金計上】

締め後の給与は、給与として未払ですが、基本的にはその月の経費として、未払計上できるものと考えられます。なお、役員や使用人兼務役員に対して支払われる報酬については、委任の対価として支払われるものであることから、期日が到来するまで債務が確定しないため、日割りで未払計上することはできません。

【法人の決算対策】

決算直前の節税対策といえば、忘れてはならないのが決算賞与。3月決算の会社の場合、3月中に決算賞与を支払えば経費になるのは当然ですが、税務上は決算賞与の特例があります。この特例を使えば、一定の要件を満たしている場合に限り、決算賞与の未払計上が認められます。つまり上記の例でいえば、3月中に支払っていなくても決算賞与を経費計上できるということです。その要件は次の3つです。

1.その支給額を、各人別にかつ同時期に支給を受

けるすべての使用人に対して通知をしていること

2.通知をした金額を通知したすべての使用人に対

し、その通知した日の属する事業年度終了の日

日から1ヶ月以内に支払っていること

3.その支給額につき、通知をした日の属する事業

年度において損金経理をしていること