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出産費用|松葉杖や車椅子と医療費控除の対象と範囲

2016年2月28日

 

【出産費用】

出産は人生の大きな出来事の一つです。その分、様々な場面で費用が発生することになりますが、出産時の分娩費用だけに限らず、定期健診や通院費等その費用のほとんどは、医師の治療等を受けるために直接必要な費用に該当するため、医療費控除の対象となります。しかしながら、帝王切開等による出産の場合に支給される保険金などの医療費を補てんするために支給されるものについては、医療費控除対象の医療費から差し引く必要があります。

ただし、同じく出産に伴って支給されるものであっても、出産の際に支給される出産手当金については、医療費を補てんするために支給されるものではないため、医療費控除の計算上医療費から差し引く必要はありません。

出産は健診から含めれば、通常半年以上かかるもので、医療費控除の計算においては、出産費用としてまとめて同じ年に確定申告しなければならない、とも考えられます。

医療費控除の対象となる医療費は、その年の1月1日から12月31日までの間に支払ったものに限られます。そして、その翌年の3月15日までに確定申告する必要があります。医療費控除適用のためには領収書等を保存しておく必要がありますが、通院費等の領収書を用意できなかった場合には、メモ書きでもよいので正確に記録しておく必要があります。

 

【出産に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断(国税庁より)】

自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

  1. 妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、また、通院費用は医療費控除の対象になります。

    (注)通院費用については領収書のないものが多いのですが、家計簿などに記録するなどして実際にかかった費用について明確に説明できるようにしておいてください。

  2. 出産で入院するときにタクシーを利用した場合、そのタクシー代は医療費控除の対象となります。それは、入院が出産という緊急時のため、通常の交通手段によることが困難だからです。

    (注)実家で出産するために実家に帰省する交通費は医療費控除の対象にはなりません。

  3. 入院に際し、寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用は医療費控除の対象になりません。
  4. 入院中は病院で支給される食事を摂ることになります。これは、入院代に含まれますので医療費控除の対象になります。しかし、他から出前を取ったり外食したりしたものは、控除の対象にはなりません。

 

【松葉杖や車椅子】

足を骨折した場合、通院等のために松葉杖や車椅子を購入またはレンタルすることもあります。この場合の松葉杖や車椅子に係る費用については、医療費控除の対象費用の含まれます。

医療費控除の対象となる医療費は、「医師・・・による診療または治療、治療または療養に必要な医薬品の購入・・・の対価のうち通常必要であると認められるもの」です。骨折による通院のために直接必要な費用であるため、その費用は医療費控除の対象となります。治療に必要であれば、治療期間中に複数回松葉杖を買い替えたとしても、医療費控除の対象になることには変わりありません。

注意すべき点は、「治療に必要」な松葉杖や車椅子に該当するかどうかという判断です。例えば、事故により入院していたが回復が見込めず、その後足が不自由になった場合に購入した車椅子は、日常生活において必要なものとなり、治療に必要なものとはいえません。したがって、治療に直接関係のない車椅子の費用については、医療費控除の対象からは除外されることとなります。

ただし、足が不自由になってしまったことで、所得税法上の障碍者に該当する場合には、障碍者控除の適用が認められ、一定の所得控除を受けることが可能です。控除できる金額は障碍者一人あたり27万円、特別障害者に該当する場合は、40万円となります。

 

 

【医療費控除の対象となる入院費用の具体例(国税庁より)】

入院に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断

(1) 入院に際し寝巻きや洗面具などの身の回り品を購入することがありますが、これは医療費控除の対象になりません。

(2) 医師や看護師に対するお礼は、診療などの対価ではありませんから医療費控除の対象になりません。

(3) 本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどの差額ベッドの料金は、医療費控除の対象になりません。

(4) 付添人を頼んだときの付添料は、療養上の世話を受けるための費用として医療費控除の対象となります。所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、親族などに付添料の名目でお金を支払っても控除の対象になりません。

(5) 入院中は病院で支給される食事を摂ることになります。これは、入院代に含まれますので医療費控除の対象になります。しかし、他から出前を取ったり外食したものは、控除の対象にはなりません。

 

 

【歯の治療に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断(国税庁より)】

(1) 歯の治療については、保険のきかないいわゆる自由診療によるものや、高価な材料を使用する場合などがあり治療代がかなり高額になることがあります。このような場合、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なものは医療費控除の対象になりません。現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえますから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になります。

(2) 発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません。

(3) 治療のための通院費も医療費控除の対象になります。小さいお子さんの通院に付添が必要なときなどは、付添人の交通費も通院費に含まれます。通院費は、診察券などで通院した日を確認できるようにしておくとともに金額も記録しておくようにしてください。通院費として認められるのは、交通機関などを利用したときの人的役務の提供の対価ですから、自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代等といったものは、医療費控除の対象になりません。