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エアコン冷暖房設備の耐用年数と減価償却※器具備品か建物付属設備か
2016年11月1日【器具備品か建物付属設備かの判定】
法人が、エアコン冷暖房設備を購入した場合、その耐用年数と確認しなければなりません。 そして、資産の種類として「器具及び備品」なのか「建物付属設備」か判定に悩むことがあります。 エアコンが器具及び備品であれば耐用年数は6年、建物付属設備であれば13年又は15年になります。 器具及び備品と建物付属設備の、どちらになった場合でも、減価償却費として最終的に、その期間にわたり取得価額の全額が経費に計上されますので、トータルで見た場合の経費の額は変わりません。ただし、当初の減価償却費が大きく異なります。 |
【減価償却費の金額の比較】
例えば300万円でエアコンを購入した場合、定率法で1年分の減価償却費を計算してみると、器具及び備品で耐用年数が6年(償却率0.333)であれば減価償却費は999,000円になります。 一方で、建物付属設備で耐用年数が15年(償却率0.133)の場合の減価償却費は399,000円になります。 器具及び備品か、建物付属設備に該当するかの違いで、1年目に減価償却費として計上できる金額に60万円もの違いが生じます。 どちらの資産の区分でも、300万円が経費になるので同じですが、資産を購入した場合、相応の資金が減少していますので、できれば早期に償却できた方が、資金を早く回収できる、ということになります。 |
それなら器具及び備品にして減価償却を計算しよう、と考えたくなるところですが、税務上は、そのエアコンがダクトなどを通じて広範囲にわたって空調できるものであれば建物付属設備に該当するものとしています。
また、一般家庭にあるようなエアコンは器具及び備品に該当することとされています。
さらに、同じエアコンでも自社ビルの天井埋め込み型の場合、償却資産税において建物付属設備としてビルと一体と考え、償却資産税が課税されませんが、一般家庭にあるようなエアコンを取り付けた場合は償却資産税の対象とされます。
【耐用年数の適用等に関する取扱通達2-2-4】
(冷房、暖房、通風又はボイラー設備) 2-2-4 別表第一の「建物附属設備」に掲げる「冷房、暖房、通風又はボイラー設備」の範囲については、次による。 (1) 冷却装置、冷風装置等が一つのキャビネットに組み合わされたパッケージドタイプのエアーコンディショナーであっても、ダクトを通じて相当広範囲にわたって冷房するものは、「器具及び備品」に掲げる「冷房用機器」に該当せず、「建物附属設備」の冷房設備に該当することに留意する。 (2) 「冷暖房設備(冷凍機の出力が22キロワット以下のもの)」には、冷暖房共用のもののほか、冷房専用のものも含まれる。 (注) 冷暖房共用のものには、冷凍機及びボイラーのほか、これらの機器に附属する全ての機器を含めることができる。 (3) 「冷暖房設備」の「冷凍機の出力」とは、冷凍機に直結する電動機の出力をいう。 (4) 浴場業用の浴場ボイラー、飲食店業用のちゅう房ボイラー並びにホテル又は旅館のちゅう房ボイラー及び浴場ボイラーは、建物附属設備に該当しない。 (注) これらのボイラーには、その浴場設備又はちゅう房設備の該当する業用設備の耐用年数を適用する。 |
耐用年数通達2-2-4(1)には、冷却装置、冷風装置等が一つのキャビネットに組み合わされたパッケージドタイプのエアーコンディショナーであっても、ダクトを通じて相当広範囲にわたって冷房するものは、「器具及び備品」に掲げる「冷房用機器」に該当せず、「建物附属設備」の冷房設備に該当することに留意する。とあります。
「パッケージドタイプ」とは、一般家庭用のエアコンより大きなもので、オフィスや店舗などで使う業務用タイプのものを指します。
つまり、
家庭用・業務用のエアコン ⇒ 原則として「器具及び備品」、
業務用のエアコンでダクトでつなげたもの ⇒ 「建物付属設備」
となります。「ダクト」を通じているかどうかがポイントとなります。ダクトが使われていなければ、「器具及び備品」と判断してよい、ということになります。
【業務用エアコンの種類と法定耐用年数】
基本的に業務用のエアコンは下記に分かれます。
この①~③の違いは「明確に建物の構造の一部として扱われているかどうか」、という部分になります。 基本的に①②は建物の一部だが、③はただの取り付け機器と判断されるという訳です。
冷暖房機能があっても冷房の出力が22KW以下であれば、無条件で②になります。 |
【エアコンの種類と法定耐用年数】
≪法定耐用年数・・・・・15年又は13年≫
≪法定耐用年数・・・・・・6年≫ 15年又は13年の「ビルドイン形」と「ダクト型」は、建築時からダクト配管を作らなければならないので、建物の一部として扱われることになります。逆に6年の場合は、建物建築後に容易に取り付けられるタイプになります。 |
【裁決例】 <国税不服審判所の判断>
減価償却資産は、資産の種類を判断する上で迷うものがあります。耐用年数が異なることにより、計上される減価償却費の金額も変わってきますから納める税金にも影響を及ぼします。資産を取得したら慎重に判断することが必要です。 |