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セルフメディケーション税制の対象と医療費控除との違い
2017年12月6日【医療費控除とセルフメディケーション税制の違い】
一般の会社員が確定申告をすることで、メリットのある税制として知られるものに、医療費控除があります。その特例として、平成29年から新たにセルフメディケーション税制というものが始まりました。 控除の対象となるかどうかを見極めるカギとなるのが、医療機関を受診した際の領収書や、薬局で医療品を購入したときのレシート類です。 医療費控除については、ほとんどの方がご存知のはずです。ただし、実際に申請をされる方は、それほど多くはありません。 そもそも医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)の家族の医療費の自己負担額が合計10万円(所得によって異なります)以上の場合、その金額から10万円を差し引いた金額を所得から控除できるという税制です。 知ってはいるものの、実際に申請する人が少ない最大の理由は、1年間に支払った医療費が10万円を超えなければ申請しても意味がない、という点にあります。 多くの人が「うちはあまり病院にかからないから、医療費控除は関係ない」と思い込み、医療機関の領収書や医薬品を購入した際のレシートを集めていない人が多いようです。 しかし、医療費控除の対象になるものが何かを知ると、意外と10万円を超えているケースもあるのです。
医療費控除の対象になるのは、医療機関での診察料の自己負担額や医師に処方される医薬品の金額だけではありません。通院や入院のために乗ったバスやタクシーなどの交通費も対象ですし、薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品も対象になります。 そのほか、服薬補助ゼリーやオブラードなど医師の指示により治療薬を飲むために必要なものも含まれます。さらに高額なのに意外と忘れがちなのが、治療のためのマッサージや鍼灸の施術費用です。 もちろん、自分だけでなく生計を一にする家族の分も合算することができます。こういった金額を一つ一つ積み上げてみると、意外と10万円を超えることがあるかもしれません。 それでもなお、年間の医療費の自己負担額が10万円を超えない人でも利用できる新しい制度が「セルフメディケーション税制」です。 これは従来の医療費制度の特例としてスタートしたもので、申請するには確定申告をする人が健康診断や予防接種などを受けていることが前提条件となります。 その上で、特定の成分を含んだOTC医薬品(スイッチOTC医薬品)の年間購入額の合計が1万2千円を超えた場合、その超えた金額を所得控除できるという税制です。 この場合も生計を一にする家族の分を合算することができます。 |
医療費控除 | セルフメディケーション税制 | |
対象 | 治療または療養に必要な医薬品・服薬補助ゼリーなどの製品、治療費、交通費 | スイッチOTC医薬品
(特定成分を含む市販薬) |
対象金額 | 実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円
(もしくは総所得の5%のいずれか低い金額) |
スイッチOTC医薬品の購入費用
1万2千円から |
上限額 | 200万円 | 8万8千円 |
控除を受けるために必要な取り組み | 特になし | 特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診 |
【制度を利用するには個人の所得税確定申告が必要】
「セルフメディケーション税制」の目的は、健康の維持増進や疾病の予防の取り組み=セルフメディケーションを推進することにあります。 その背景には、高齢化が進み、医療費が高騰、日本の医療保険制度の存続が危ぶまれているという状況があります。 そこで、日頃から自分の健康状態や生活習慣に配慮して定期的に健康診断や予防接種を受け、軽い症状であれば市販薬をうまく活用するなど、自分の健康を自分で管理している人を応援しましょう、と始まったのがセルフメディケーション税制です。 新しい制度を利用するときに気を付けたいのは、従来の医療費控除と同時に利用することはできない、ということです。どちらかを利用する方が節税につながるかを考えて、申請する必要があります。 たとえば、従来の医療費控除が10万円以上でないと使えないのに対して、セルフメディケーション税制は1万2千円を超えれば使えます。 ただし、対象となる医薬品はスイッチOTC医薬品に限られるため、幅広く医療費の自己負担分が対象となる従来の医療費控除に比べると、範囲は狭くなります。 スイッチOTC医薬品とは、もともと医師の処方がなければ買えなかった医療用医薬品を薬局で購入できるように転用したものです。たとえば、ロキソプロフェンを含む痛み止めやインドメタシンを含む湿布薬などです。 具体的な対象医薬品は厚生労働省のサイトに掲載されているので確認することができます。 購入した医薬品が対象製品である場合、レシートに★印などが印字されています。また、製品のパッケージに識別マークが印字されているものもあります。 まずは、1月から12月までの医療費の領収書や購入した医薬品のレシートを集計して医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらが有利になるかを検討してみましょう。
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