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社長や役員にも賞与を支給|社会保険料を削減|事前確定届出給与に関する届出書

2018年4月7日

 

【社長や他の役員にも賞与を支給することができる】

社長や役員は賞与をとってはいけない、、、

そう思っておられる社長様も中にはいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。

一定の手続きを行うことにより、社長や他の役員でも会社から賞与を支給することができます。

以前は、法人で利益が出そうだから、個人(役員)に対して賞与を支給する、という利益操作目的を阻止するために

社長や役員に賞与を支給することは認められませんでした。

しかし、決算終了後に所轄の税務署へ、〇月〇日に〇〇〇円の賞与を支給します、と予定をしておけば

たとえ役員でも賞与を支給することができます。

 

【事前確定届出給与に関する届出書を決算申告後に提出】

事前に所轄の税務署へ届出をしておけば、社長や他の役員の方にも賞与を支給することができます。

この届出書のことを「事前確定届出給与に関する届出書」といいます。

 

この届出書を会計年度終了後、一定の期間以内に届出をしておけば、賞与を支給しても問題ありません。

支給金額・支給時期について、原則として株主総会において定めたうえで、その定めの内容を所轄の税務署へ届けておけばよいわけです。

 

【届出の期日と支給金額・支給時期】

例)

例えば、3月決算法人の場合、税務申告は2ヶ月後の5月です。そして、たいていの場合、株主総会は翌月の6月以内に開催されます。

決算期の末日(3月末)を基準日と定め、それから3ヶ月以内に定時株主総会を開催しなければならないと法令や規則で定められているからです。

 

届出には期限があり、①職務執行開始日と、②会計期間開始の日から3ヶ月を経過する日のうち、いずれか早い日までに提出する必要があります。

①の職務執行開始日とは、原則として定時株主総会の日です。②の会計期間開始の日から3ヶ月とは、3月決算法人の場合は、6月30日となります。

 

仮に、3月決算の法人が、定時株主総会を6月29日に行った場合は、6月29日が届出の提出期限となります(29日と月末30日のいずれか早い日)。

 

役員の職務執行の開始日までにあらかじめ支給金額と支給時期が確定していることを要件としているのは、利益調整に利用できないように、、、

という趣旨です。

 

【年間トータルの収入を変更させずに、社会保険料を減額させる】

この事前確定届出給与に関する届出書を利用して、社会保険料の負担を軽減させている会社も多く見受けられます。

法人から支給される給与(役員報酬)に対する社会保険料の額は、保険料額表により算出されます。

月々の給与(報酬月額)を減額させ、差額を賞与で支給することにより、年収を変えることなく、厚生年金保険料を減額させることができます。

 

月々の社会保険料の金額は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険・厚生年金保険の保険料額表に基づいて算定され、給与から天引きされます。

 

この表の下側に賞与にかかる保険料額の記載があります。

賞与に係る保険料額は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額(標準賞与額)に、保険料率を乗じた額となります。
また、標準賞与額の上限は、健康保険は年間573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額。)となります。

厚生年金保険と子ども・子育て拠出金の場合は月間150万円となります。

つまり、支給する賞与に対しては、健康保険料と厚生年金保険料がそれぞれ上限を設けているわけです。

 

【どのくらい社会保険料が減額されるのか】

《定期定額を毎月支給する場合・・・通常の役員報酬》

(単位:万円)

月収 40 50 60 70 80 100 120 150 170
年収  480 600 720 840 960 1200 1440 1800 2040
社保負担計 143 179 215 251 286 358 430 538 609

 

 

《毎月の支給額を5万円にする場合・・・差額を賞与で支給》

(単位:万円)

月収

5

5 5 5 5 5 5 5 5
賞与 475 595 715 835 955 1195 1435 1795 2035
年収 480 600 720 840 960 1200 1440 1800 2040
社保負担計 105 120 123 123 123 123 123 123

123

 

《法人負担分も含めた社会保険料の負担軽減額》

(単位:万円)

社保負担減額 -38 -59 -92 -128 -163 -235 -307 -415 -486

 

【将来の年金支給額と税務上のリスク】

上記の表からもわかるように、月額報酬を少なく設定し、差額を賞与で支給することにより、年間の報酬(年収)を変えずに、社会保険料の負担を減らすことはできます。

 

しかし、現在、支払う(負担する)厚生年金保険料の金額が減るということは、当然のことながら、将来支給される年金金額が減少するということになります。

また、役員が退職する際に支給予定の役員退職金は、最終月額報酬で計算されますから、多くの退職金を支給することは望めません。

 

上記のことを踏まえて慎重に検討する必要があります。