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消費税の簡易課税と原則課税どちらがお得?
火曜日, 3月 16th, 2010消費税は本来、企業が売り上げ時に預かった消費税から、商品サービスの提供を受けたときに負担した消費税を差し引いて、その差額を税務署に納めます。
したがって経理上、すべての取引について、消費税がいくらかを認識していないと消費税の計算ができません。 しかし、専任の経理担当者がいない小規模事業者に、会社のすべての取引について消費税を区分して経理してもらうのは大変なので、簡便な計算方式が用意されています。これが「簡易課税」制度です。 簡易課税制度は、売り上げだけから次の算式で簡便的に消費税額を計算するやり方です。 課税売上高 × 5%- (課税売上高 × 5% × みなし仕入率) = 納付消費税額 この特例が選択できるのは、2期前の課税売上高(消費税の課税対象の売り上げ)が5000万円以下の事業者です。 また、2期前が存在しない設立したばかりの会社は、この簡易課税の方式を選択できます。 この簡易課税制度に関しては、消費税の免除の特例とは違い、資本金が1000万円以上の会社でも適用が受けられます。 ですから、会社を設立したばかりの会社であれば、設立1期目と2期目については、簡易課税を選択することが可能です。 |
基準期間の課税売上高が5千万円以下であれば、簡易課税か原則課税かを選択することができます。事業者がどちらか「お得」な方を選べるわけです。
例えばサービス業を営んでいる場合、簡易課税のみなし仕入率は50%です。これは預った消費税のうち、半分を支払った消費税とし、残り半分を納税するということになります。 もしこの事業者の給与総額が売上の60%を占めているとします。給与は消費税がかからない取引(不課税取引)ですので、特に固定資産の購入もなければ、のこり40%の中に支払った消費税が含まれていることになります。 とすれば、原則課税で納税額を計算すれば、「預った消費税」から控除できる「支払った消費税」は4割以下の金額です。簡易課税では半分を「支払った消費税」とできるため、簡易課税を選択したほうがお得です。 逆にこの事業者が大きな設備投資をしようとします。建物の建設や機械等の購入には消費税がかかります。 原則課税で計算すれば消費税が還付になる場合でも、もし簡易課税を選択していれば、実際に支払った消費税は全く無視し、預かった消費税からのみ計算しますので、還付は受けられません。 また輸出業者の場合、輸出売上は免税売上となり預かる消費税がありませんので、原則課税では支払った消費税は還付になります。 これが簡易課税では預かった消費税に率をかけて支払った消費税を計算するだけですので、支払った消費税は0円となり還付は受けられません。 この2つを選択しようとする場合には、将来の事業計画や売上/経費の見込み等慎重に判断する必要があります。 |
【簡易課税は有利か】
必ずしも簡易課税で計算したほうが、納税額が少なくなるとは限りません。 たとえば、ほとんど経費のかからないコンサルタント業であれば、簡易課税を選択することによりサービス業の50%のみなし仕入率が適用されるので、原則的なやり方で計算するよりも簡易課税を選択したほうが納税額は少なくなります。 しかし、製造業で、材料代と外注費だけでも売り上げの70%を超えているような会社で、簡易課税を選択したら損をしてしまうのは明らかです。 大きな設備投資をしたような場合も、簡易課税を選択すると不利になることがあるので、注意が必要です。 |