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使用人兼務役員の条件と報酬・賞与の決め方はどうすればよいか?従業員部分の賞与を損金算入

木曜日, 11月 5th, 2015
Q.

当社の営業部長は、今回昇進し、取締役営業部長になりました。

税務上は、このような場合、使用人兼務役員といいますが、使用人兼務役員としての条件と報酬を決める場合の注意点はどのようなものがありますか?

また、使用人兼務役員の賞与は損金に計上することはできますか?

 

A.

会社の役員の中で、部長等の従業員としての職制上の地位があり、実際にその職務に従事している人を使用人兼務役員といいます。使用人兼務役員の場合、一般の役員と同様に過大報酬の問題があります。

また、役員の賞与が事前届出給与以外は損金算入されないのに対して、使用人兼務役員の場合は、従業員としての部分についての賞与は損金算入されます。そのため、例えば、臨時の賞与も従業員部分については損金算入できることになります。

 

【使用人兼務役員の要件】

(1)代表取締役、専務取締役、常務取締役、監査役に該当しないこと。

(2)職制上の地位として、部長や課長などの会社の従業員であること。

(3)常時従業員としての職務に従事していること。

(注1)非常勤役員は、常時従業員としての職務に従事していないため、使用人兼務役員には該当しません。

(注2)同族会社のみなし役員および同族会社の役員のうち、一定の者も使用人兼務役員に該当しません。

 

【使用人兼務役員の報酬】

(1)従業員部分としての適正額の算定

①比準従業員がいる場合

その使用人兼務役員が従事している職務におおむね類似した従業員の支給給与の額に相当する金額

②比準従業員がいない場合

その使用人兼務役員が役員になる直前に受けていた給与の額、その後の支給状況、従業員のうち最高位の者に支給した給与の額等を考慮して適正に見積もる

(2)使用人兼務役員の過大報酬部分の判定

①役員報酬の限度額を使用人兼務役員の従業員部分を含めないで定める場合

(例)

《株主総会等での決議内容》

・報酬総額4,000万円、ただし、使用人兼務役員の使用人分を除く

《取締役会での決議内容》

・使用人兼務役員Aの役員報酬額・・・・・300万円

・使用人兼務役員Aの報酬額・・・・・・・・1,200万円

・Aと類似する他の従業員給与・・・・・・・・700万円

【過大報酬額の計算】

《使用人兼務役員に支給可能な役員報酬額》

300万円

《過大報酬額》

1,200万円-700万円=500万円

500万円-300万円=200万円

※使用人兼務役員に支給した報酬額から、使用人分の適正額を控除した金額を役員報酬として、過大かどうかの判断をします。

 

②役員報酬の支払限度額のみを定めた場合

上記①の例をもとにすると次のようにないます。

(例)

《過大報酬額》

1,200万円-300万円=900万円

 

【注意点】

役員報酬の限度額を株主総会等で定める場合には、従業員分の報酬額を含めないで定めるといった規定をしておかないと、使用人兼務役員の従業員給与まで損金不算入となってしまう恐れがあるので注意して下さい。

 

【使用人兼務役員の賞与】

(1)使用人兼務役員の従業員分賞与の適正額

判定の方法は、使用人兼務役員の適正報酬の判定と同じです。

(2)使用人兼務役員の賞与の支給と経理処理

①他の従業員に対する賞与の支給時期に支給すること。

②その事業年度において損金経理すること。

 

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