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法人設立|節税対策税金シミュレーション

日曜日, 2月 28th, 2010
世間には、「会社設立の節税メリット」をうたい文句にした税理士(会計事務所)の宣伝が目立ちます。しかし、そのメリットを得るためには相当苦痛が伴うことを忘れてはいけません。会社設立後は記帳の労力だけでなく、税理士報酬、社会保険料(厚生年金・健康保険)、登記費用など相当なコストがかかります。

「会社を設立すると、個人のころ課税の対象となっていた『事業所得』が役員給与(役員報酬)という『給与所得』になり、そこから『給与所得控除』を差し引けるので、その分節税になる」

会社設立の節税メリットの典型です。税理士のセールストークです。

この説明で、多くの人が役員給与(役員報酬)は会社の利益状況に応じて臨機応変に変更でき、結果として法人税が課税される会社の利益をゼロにできると思い込んでしまいます。

しかし、これには大変な落し穴があります。この説明は、役員給与は、役員の職務内容に応じて、「一定の期間(少なくとも一年程度)」、「一定の時期(通常は毎月)」、「一定金額を定額」で支給するものでない限り損金算入(費用処理)を認めないという、「法人税法の鉄則」を隠した説明です。

つまり、税法では、役員給与を頻繁に変更することで、法人税が課税される利益の操作をすることを防止しています。

「役員給与(役員報酬)が高いと、所得税も社会保険料も高くなるので、下げてもいいですか?」

会社設立後、社長が税理士にそのような相談をすれば、税理士は次のように答えるでしょう。

「役員給与は、そう簡単には変更できません。」

結局、「取れもしない役員給与」についての高額な「所得税」、「住民税」、「社会保険料」を支払う羽目になります。(帳簿処理上は、いったん役員給与を支払い、直ちにその役員から借りたという扱いにします(役員にすれば会社に貸している))。

つまり、会社設立後の役員給与は、個人事業者のときの事業所得を上回るということです。これでは、せっかくの給与所得控除を活かすことができません。

税理士にとって都合のよい会社設立が目立つのも事実です。なぜならば、会社にすると税務申告が複雑になり、素人では行うことができないため、依頼者に逃げられなくなると同時に税理士報酬も大幅に上がるからです。税理士によっては、会社設立の理由として「事業拡大」、「事業永続」、「経営管理の強化」などもっともらしいことを語ります。

「社長、法人にすれば2年間は消費税が免税ですし、社長の給料も会社から取れて経費になりますから、有利です」という税理士のアドバイスだけで簡単に法人成りを決めるのはよくありません。

個人事業者のときの業績を法人にあてはめてみてシミュレーションしてみてください。

① 社会保険・登記の費用はいくらか?

② 社長がいくら給料を取りたいのか?

③ 社長の給料に対する源泉所得税はいくらか?

④ 法人税・法人事業税・法人県民税・法人市民税の合計でいくらか?

⑤ 赤字でも支払う税金はいくらか?

⑥ 節税以外に法人にする必要がある理由は何か?

個人のときと法人にしたときの税金以外の費用も含めてシミュレーションすることが大切です。

 

法人設立のときは、シミュレーションが必要です!

個人のときと法人にしたときの税金以外の費用も含めてシミュレーションすることが大切です。

(1)法人のメリット

法人設立の税務上のメリットは主に次のようなものです

① 代表者へ給与を支払うことができる

② 法人が使用人に対して支払う給料は無条件に損金に算入される

③ 役員又は使用人に支給する退職金は、原則として損金に算入される

④ 家族に対する賃借料・借入金利子も損金算入される

⑤ 法人の欠損金は7年間繰り越すことができる

(2)法人のデメリット

法人設立のデメリットは主に次のようなものです

① 法人では交際費の全額が損金に算入されない(一部利益になります)

② 赤字であっても法人県民税・市民税の均等割が課税される

③ 他の所得との通算(相殺)ができない