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経理の合理化|経理の問題は嫁と姑問題

水曜日, 1月 27th, 2010
【経理の問題は嫁(ヨメ)と姑(シュウトメ)問題】

実際に経理を指導する中で、よく見られるのが、嫁と姑の関係です。

(中小企業の場合、経理の問題の半分以上が嫁・姑問題ですね。。。)

社長の座を先代から2代目の息子へ承継するとともに、経理も先代の妻から2代目の嫁へと承継する場合です。

このとき、嫁と姑の微妙でなんともいえない関係から、なかなか経理の改善がうまくいかない場合が実際によくあります。

姑は、創業当時からの昔ながらのやり方でやってきているため、実務には絶対の自信があります。

また、先代とともに会社を守ってきたというプライドもあります。

一方、嫁は、会社の歴史など知るはずもありません。

OL時代の経験からパソコンには慣れています。簿記も学校で学習したことがあり、基本的なことはわかっています。

姑は嫁に今までのやり方をそっくりそのまま引き継ごうとします。

今までやってきたことは100%正しいと思っています。パソコンなんか使ったことはありませんし、覚える気もさらさらありません。

パソコンよりも自分の手で集計したもののほうが信用できるのです。

嫁はそれに反発します。嫁からすれば、今まで何十年もやってきた手書きの振替伝票の起票、手書きの帳票類の作成、『まだ動くの?』と疑いたくなるほどのオフコンへの入力、、、パソコンへ入力したら済む作業をどうして手間暇掛けてやる必要があるのか、、、やっている業務のほとんどをムダと感じるわけです。

このとき、嫁と姑の関係はさらにギスギスとした難しい関係となります。

経理の改善もスムーズに進みません。先代も社長も経理のことは全然解りませんから、意見を言うこともできないのです。

何がムダで何が効率であるかなんてわかりませんし、それ以前に何が必要で何が不要なのか、解らないのが一般的なのです。

 

 

【なぜ経理ってムダなことやってるんだろう??】

(1)パソコン会計の登場

パソコンが世の中に登場し、経理の業務の内容も昔と比べるとかなり変わってきました。

今も昔も、経理業務を行うにあたって、「簿記」の知識が必要であることは言うまでもありません。ただ、簿記という学問の中で、「転記」や「集計」といった作業は、本来パソコンの得意分野ですので、「転記」や「集計」の仕方が知識として必要であっても、実務を行ううえで実際に転記作業・集計作業を手書きで行うことはこれからの時代ほとんどありません。

 

(2)経理業務は改善が進まない

経理という部門は、昔からのやり方を変えられない部門です。相変わらずムダなことをやっている経理がたくさん存在します。他の部門が業務の改善を行うなか、経理は改善が遅れるのです。では、改善が遅れるのはなぜでしょうか??

一つは、社長自身が経理を知らないからです。現在では「事業承継」とよく言われ、社長から後継者へバトンタッチするときの注意点がよくクローズアップされており、研修・セミナーもよく行われています。一方、経理に関しては、社長自身が経理を知りませんから、経理に対して何も言えません。経理も誰からも何も言われないため、昔からの慣れたやり方で作業を続け、改善どころか、現状の業務に疑問さえ感じることなく、永遠と意味のない作業を続けているケースが多いのです。

二つめは、目的を持っていないからです。「その仕事は何のためにやっているんですか?」「その資料は誰のために作っているのですか?」と、経理の方に質問してみると、返ってくる答えは、

「前任の担当者から引き継いだためです」とか「入社したときから、このやり方でやっていたので、、、」といったものです。何のために、、、つまり、目的がないのです。

 

(3)パソコン会計を導入したのに、、、、

①伝票会計をやめることができない...

よくあるのが、入金伝票・出金伝票・振替伝票を手書きで作成し、それを見ながら入力するパターンです。パソコンを導入すれば、一般に伝票を起票する作業が、仕訳画面に入力することになるわけです。にもかかわらず、伝票を書いて、また同じ内容をパソコンに入力することとなると、二度手間であり、入力作業を行う分、仕事量が増えたことになります。

ベテランの経理社員は、取引を借方、貸方に分けて伝票に書くことにより、はじめて納得できる、という思考回路ができあがっています。手書きの伝票は絶対に残しておかなければならないものだ、と、信じて疑わない経理社員が多いのです。仕訳を伝票に書くか、パソコンに直接入力するかの違いだけなのに、習慣とは恐ろしいもので、「やめていい」といってもなかなかやめられないのが現実です。パソコン会計を導入しても、経理のやり方そのものを変えない限り、経理業務の生産性向上は実現できません。伝票だけに限らず、手書きの帳票類(仕入帳・売上帳・給与台帳・銀行帳など)は入力するだけで作成、または会計ソフトのデータを活用して作成できるはずです。

 

②ノン伝票会計

ノン伝票会計とは、仕訳を起票せず、つまり、伝票を作成せず、領収書・請求書などの証憑類から直接パソコンへ入力する会計です。パソコンへ情報を与えれば、後は自動で集計してくれます。その後、紙ベースで必要な場合はそれぞれの用途に応じて必要な資料を出力することができるのです。ただ、注意して頂きたいのは、いくらパソコン会計で便利になっても、チェックをするのは人の目だということです。

また、出た数字は過去の集計に過ぎませんから、そこから「予算対比」・「目標対比」を行ったり、数字を経営に役立てることが重要です。過去の集計作業に時間を掛けず、作業の効率化・簡素化を進め、経営に役立つ経理が益々必要とされるでしょう。

 

(4)会計事務所に全て任せていませんか?

「ウチは会計事務所に任せているから安心」とか「銀行に提出する資料を作ってもらっているから便利」など、言われる経営者がおられます。

会計事務所に全て任せれば、まず間違いなく、正確な資料を作ってくれますが、自社の内部情報を最も理解しているのは、会計事務所でもなく経営コンサルタントでもなく、経営者であり、社員です。最新の経営情報は社内で作成し、管理するのが理想です。大切なのは帳簿を作ることではなく、それをどう使うか、どう活用するかということです。

創業間もないときは、経理に費やす時間も少ないため仕方がないかもしれませんが、自分で数字を把握するためにも、自計化(自社で試算表の作成)を確立させ、おおまかでも作成できるようになることがベストです。また、どこからどこまでを自社で処理し、会計事務所に任せるのか役割分担も明確にしておく必要があるでしょう。

 

(5)会計事務所が合理化をすすめない理由

①理想型を中小企業にも当てはめようとする

会計事務所は、中小企業に完璧な経理処理を求めます。それは、きっちりやっておかないと税務調査で辛い思いをするという恐怖感が企業だけでなく、会計事務所にもあるからです。それがゆえに、株式公開なんて絶対に考えていないような中小企業にも理想的な経理処理のやり方を指導するのです。

②伝票について ~ 伝票があったほうが入力し易い ~

会計事務所は、事務所の会計ソフトに顧客ごとの会計データを管理しています。会計事務所の職員は、顧問先1社の一ヶ月の取引を半日か、長くても一日で入力してしまいます。早く入力処理を行うためには、伝票があったほうが入力し易いのです。

会計事務所の職員や経理経験者であれば、取引の明細や、領収書を見れば、伝票がなくても仕訳を頭の中で起票することができます。しかし、スピーディに作業を進めることを考えれば、伝票があったほうが便利なのです。顧問先にとって無駄であるとわかっていても、事務所で入力する作業のことを考えると、「伝票を作成することをやめましょう!!」などとは提案しないのです。

 

(6)これからの「経理」 ~数字を意識し、目的から考えよう~

①経理の仕事は、「専門職」から「一般職」へ

よく企業の求人広告の募集要項に「簿記3級以上、2級以上」という記載があります。

企業が資格を要求するのは、専門的知識が必要であると考えるからです。

確かに、手書きで帳簿をつけていた頃は、経理は専門職の仕事でした。取引の内容を適正に仕訳を起こして(起票)、記帳を行い、帳簿をつけて決算書を作ることは専門的と言えます。

しかし、会計ソフトの登場により経理の仕事は簿記の知識がなくてもできるようになってきています。実際、簿記を全く知らない人が、経理処理を行っている会社は何社もあります。経理の仕事は今では領収書や通帳を見ながら行う入力作業と言っても過言ではありません。

②目的(何のために?)から考えよう

大切なことは目的から考えることです。今まで当たり前のように行ってきた作業の手を止めてみて、作業を整理してみると、少し違ったものが見えてくるかもしれません。誤解して欲しくないのは、パソコン会計・ノン伝票会計によって楽をする、サボる、ということではなく、『経営にとっての理想の経理』の視点から考え、経営にとって何が必要な資料なのか、経営者は何を見たいのかを考え、経理業務の効率化・簡素化を通じて、スピードアップを図るとともに、経営に参加できる経理になることです。

意味のないこと、やってもやらなくてもどうでもいいこと、やらなくても困らないこと、ムダだなと思うこと、、、、もう明日からやめにしませんか?