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1年分の前払家賃の費用計上で節税|短期前払費用の活用
金曜日, 1月 30th, 2015
Q.当社は、9月決算の法人です(11月申告)。当期末近くに新店舗を出店することになり、ビルの1フロアーを賃借しました。 このビルの家賃は一年分前払いになっていますので、入居時に9月分の日割り家賃と10月から翌月9月までの家賃の全額を支払いましたが、当期の費用として計上してもかまわないのでしょうか?
A.支払った家賃の全額が当期の損金として計上できます。ただし、継続適用が条件となります。
【前払費用の原則】会社の取引の中には、支払いが終わっていてもサービスをまだ受けていないものがあります。 そのような費用を前払費用といいます。原則として、前払費用は当期の損金にはなりません。そして、未経過費用として資産計上されます。
【前払費用の特例(短期前払費用)】前払費用として資産計上すべきものでも会社が前払費用のうち、その支払った日から1年以内に提供を受けるサービスについて支払いを行い(短期前払費用といいます)、これを支払った日の属する事業年度の損金とする経理処理を継続して適用することとした場合は、その経理が認められます。 なお、上記の設問の場合、9月分の日割り家賃が含まれるため、1年を超える期間分のサービスについての支払いになっていますが、1年を数日超えるような期間である場合は、当期の費用として差し支えないと考えられます。
【主な短期前払費用】地代、家賃、リース料、支払利息、保険料等
【参考:短期の前払費用 基本通達2-2-14】前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。 (注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。 |
【法人の決算対策】
決算直前に、1年分の費用を先払いして節税する方法もあります。通常、費用の先払いは前払費用となり費用にはなりません。ただし税務上は「短期前払費用の特例」というのがあり、1年以内の先払いの場合には、原則その支払時の費用として処理できる旨の特例があります。これを使って、決算期末直前に1年分の費用を先払いすれば来期の費用を先取りすることができます。この特例を使った節税で有名なのが、地代家賃の前払です。 ただし家賃は通常月払が基本ですので、この特例を使う場合には賃貸借契約も年払いの契約に切り替えておく必要があります。また地代家賃の場合、年払いしてしまうと事務所の移転がしにくくなるなどのデメリットもありますので、注意して下さい。 |
地代家賃や保険料など一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出する費用は、その年の12月31日において未だ役務の提供を受けていない部分については、その年の必要経費とすることは出来ません。しかし次の要件を満たせばその支払った年の必要経費とすることができます。
① その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもの ② その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に 算入していること。 例えば年末近くになり予想より利益が出そうな場合に、借りている事務所などの賃貸契約を月払の契約から一年払いの契約に変更してもらい、その年の12月31日までに支払えばその年の必要経費とすることが出来ます。 この短期前払費用で節税となるのはその年払いの契約を始めた年だけですし、実際に資金も出て行くため、それほど効果的な節税だとは思いませんが知っていて損はないと思います。 |