役員給与改定変更と課税関係

Q.

当社は3月決算法人の会社です。業績が好調に推移し、今後も同様な状況が続くことが見込めるため、5月の定時株主総会で、役員給与についてアップすることとしました。

社長  :月額150万円 ⇒ 165万円

副社長 :月額100万円 ⇒ 110万円

専務   :月額80万円  ⇒ 88万円

このような場合の税務上の問題点はありますか?

 

A.

役員給与は、基本的に①定期同額給与、②事前確定届出給与、③利益連動給与に分けられます。

③の利益連動給与は同族会社以外の一定の条件を満たした会社だけに適用されます。

 

①の定期同額給与は、「支給時期が1ヶ月以下の期間で、各支給時期における支給金額が同額であるもの」をいいます。

たとえば、毎月同額を支給している場合がこれに該当します。

期首から3ヶ月以内に改訂するものは、改訂前の支給時期と同額、かつ、改訂後の支給時期で同額であれば損金として計上できます。

この設問の例のように、4月と5月の役員給与がそれぞれ、150万、100万、80万、6月から翌期の3月までがそれぞれ165万、110万、88万といった場合には税務上も損金に算入できます。

 

【損金計上する場合の注意点】

1.役員給与については、定款の定めまたは株主総会の決議事項です。

通常は、株主総会で役員給与の総額を決議し、各役員の報酬金額については、取締役会で決議します。

そのため、必ず株主総会および取締役会を開催してその承認を受け、議事録を作成することが必要です。

2.職務の内容、収益状況及び使用人に対する給与の状況、同業同規模の他社の支給状況等と比較し、役員の職務に対する対価として

相当な金額を超える部分(過大報酬部分)がないかどうか確認することが必要です。

3.期首から定時株主総会が開催された月まで遡及し増額した支給については認められず損金計上できません。

4.昇格などの職制上の地位の変更による場合は、期首から3ヶ月を超えて変更しても損金に計上できます。

 

 

【参考:定期同額給与の意義 法人税法基本通達9-2-12】

9-2-12 法第34条第1項第1号《定期同額給与》の「その支給時期が1月以下の一定の期間ごと」である給与とは、あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む。)に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反復又は継続して支給されるものをいうのであるから、例えば、非常勤役員に対し年俸又は事業年度の期間俸を年1回又は年2回所定の時期に支給するようなものは、たとえその支給額が各月ごとの一定の金額を基礎として算定されているものであっても、同号に規定する定期同額給与には該当しないことに留意する。

(注) 非常勤役員に対し所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する年俸又は期間俸等の給与のうち、次に掲げるものは、法第34条第1項第2号《事前確定届出給与》に規定する給与に該当する。

(1) 同族会社に該当しない法人が支給する給与

(2) 同族会社が支給する給与で令第69条第2項《事前確定届出給与の届出》に定めるところに従って納税地の所轄税務署長に届出をしているもの

 

【参考:職制上の地位の変更等 法人税法基本通達9-2-12の3】

9-2-12の3 令第69条第1項第1号ロ《定期同額給与の範囲等》に規定する「役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情」とは、例えば、定時株主総会後、次の定時株主総会までの間において社長が退任したことに伴い臨時株主総会の決議により副社長が社長に就任する場合や、合併に伴いその役員の職務の内容が大幅に変更される場合をいう。

(注) 役員の職制上の地位とは、定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等により付与されたものをいう。

 

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