不動産所得の個人事業の確定申告と所得税
所得税-不動産所得
【不動産所得とは】 不動産所得とは、家賃、地代、権利金、更新料、名義書換料などの所得や、船舶、航空機の貸付などによる所得のことをいいます 不動産所得の金額は、家賃等の収入金額から必要経費を控除して計算します
【申告上の注意点】 1.不動産所得の収入金額は、本年中に収入することの確定した金額です したがって、まだ実際に受け取っていない場合でも、受取期日が本年中に到来したものは、本年分の収入金額になります しかし、本年中に確定した収入金額のうち翌年以降の期間に対応する分が含まれている場合で、一定の要件を満たす場合は、本年の期間に対応する分だけを本年分の収入金額とすることができます ※ 毎月受け取ることとしている賃貸料のように一年以内の期間に係る賃貸料収入の全部について、毎年継続して、帳簿上前受けの整理をしている場合には、そのうちの本年の期間に対応する分だけを本年分の収入金額とすることができます なお、期間が1年以上であっても、貸付けが事業的規模である場合(独立家屋はおおむね5棟以上、アパートは独立客数がおおむね10室以上などの場合)には、一定の要件の下、その期間が対応する部分を収入金額に計上することができます
2.広告用などとして、土地や建物の一部(へいや壁などを含みます)を利用させる場合に受け取る使用料も不動産所得になります
3.車両を保管する場所として、建物や空き地などを一定期間貸し付けることによる受け取る使用料などの所得は、原則として不動産所得となります ※いわゆる有料駐車場のように管理人を置くなどして車両を預かることによる受け取る駐車料、保管料などの所得は、その規模等に応じて、事業所得か雑所得となります
4.権利金や頭金などを一時に受けた場合において、その権利金等が土地の長期貸付によるものは不動産所得ではなく、譲渡所得とされる場合があります また、3年以上の貸付けによる権利金は、譲渡所得に当たらないときでも平均課税の方法で税額を計算できます
5.貸し付けていた建物の賃借人を立ち退かせるために支払った立ち退き料は、不動産所得に必要経費に算入されます ただし、建物などの譲渡に際して又は建物を取り壊してその敷地を譲渡する際に、支出するものは、譲渡所得の計算上控除されますので、不動産所得の必要経費にはなりませんので注意が必要です
6.不動産や船舶などの貸付を事業として営んでいる場合に生じた賃貸料などの貸倒れによる損失額は、貸倒損失として必要経費になります
7.不動産や船舶などの取り壊しや、これらが滅失したことなどによって生じた損失額については、以下のように取り扱われます ①不動産などの貸付を事業として営んでいる場合には、その全額が必要経費となります ②不動産などの貸付を事業として営んでいない場合には、不動産所得の金額を限度として必要経費になります また、当該損失が、災害、盗難、横領により生じたものである場合には、雑損控除を選択することも可能です
8.不動産所得に赤字が発生した場合には、原則として、他の所得の黒字の金額から差し引くこと(損益通算をする)ができます なお、不動産所得の赤字の金額のうちに、不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地等を取得するために要した負債の利子がある場合には、その負債の利子の部分は、損益通算の対象とはなりません ※不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地等をその土地等の上に建築された建物とともに取得した場合において、これらの資産を取得するために要した負債の額がこれらの資産ごとに区分されていないこと、その他の事情によりこれらの資産の別にその負債の額を区分することが困難であるときは、これらの資産を取得するために要した負債の額が、まず建物の取得の対価の額が充当され、次に土地等の取得対価の額に充当されたものとして、土地等を取得するために要した負債の利子の額に相当する金額を計算することができることとされています
9.不動産所得を生ずべき事業を行う民法組合等の特定組合員または、信託の受益者が、その年分の不動産所得の金額の計算上、組合事業または信託から生じた不動産所得の損失額については、生じなかったものとみなすこととされています
10.有限責任事業組合契約に関する法律に規定する有限責任事業組合契約を締結している組合員である個人の当該組合事業(LLP)から生じる不動産所得の損失額について、その損失額のうちその組合事業に係る当該個人の出資の価額を基礎として計算した金額を超える部分に相当する金額は、必要経費に算入されないこととされています
【間違えやすい事例】 敷金、保証金等のうち、償却費、修繕費等の名目で返還しないこととしている金銭については、その返還しないことが確定した年分の収入に計上しなければなりませんので注意が必要です |