夫婦で住宅ローンを組む|夫婦共働きのペアローンや連帯債務、連帯保証と団体生命保険

夫婦2人で住宅ローンを組む

共働き世帯の増加とともに夫婦2人で住宅ローンを借りる方が増えています。

1人でローンを組むよりも借入額を増やすことができたり、住宅ローン控除を2人分利用できたりする利点があります。

背景には物件価格の上昇があります。特に目立つのはマンションです。

コロナ禍で大規模な金融緩和が続き、投資資金が不動産市場全体に流入したことも影響していると考えられます。

 

夫婦2人で住宅ローンを借りる方法は3つ

夫婦で住宅ローンを借りる方法は3つあります。

(1)ペアローン

まずは、夫と妻が同じ金融機関で1本ずつ合計2本のローンを契約するペアローンです。

2人がそれぞれのローンの債務者として返済義務を負い、別々に返済していきます。お互いに相手のローンの連帯保証人にもなります。

ペアローンは借入額や金利タイプ、返済期間などの条件を個別に設定できます。

例えば、総額4000万円を借りる場合、夫が3000万円を固定金利で期間35年、妻が残りの1000万円を変動金利で期間10年、というパターンです。

夫の収入に応じて借入額に差を付けたり、一方の返済期間を短くして、大学進学など子供の教育費がかさむ時期に返済の負担を減らしたりする、などの工夫ができます。

 

(2)連帯債務と(3)連帯保証

さらに別の方法として、夫婦の収入を合算して1本のローンを借りる方法で、「連帯債務」と「連帯保証」があります。

連帯債務は片方が主債務者、もう片方が連帯債務者として契約し、2人とも同等の返済義務を負います。

連帯保証は片方が債務者、もう片方が連帯保証人になり、保証人は債務者の返済が滞ったときに返済する義務があります。

 

 

住宅ローン控除と所有権

借り方と返済義務以外の違いも知っておく必要があります。

 

ペアローンと連帯債務は夫も妻も債務者となるため、所有権は共有名義となります。

住宅ローン控除もそれぞれが利用できます。

返済期間10年以上のローンを使って自宅を取得すると入居の年から原則、最大10年間、年末借入金残高に応じて計算した金額を控除することができます。

ただし、控除額が1人で利用するより大きくなるかは、所得税と住民税の額や借入金残高などで変わってきますので慎重に検討したほうがいいです。

 

一方、連帯保証は頭金を出すのが債務者1人なら所有権は債務者に限られます。住宅ローン控除の対象も1人だけになります。

手数料などの費用では連帯保証と連帯債務はローンが1本であるため、ペアローンに比べて数万円から数十万円低くなります。

 

住宅ローンの金額

どの方法でも重要なのは借入金額に2人が責任を負うことです。

共働き夫婦それぞれの融資可能額を合算して住宅ローンを組めば、多くの資金を借りることができます。

条件のいい高額物件も購入対象になりますが、融資額は夫婦に一定の収入が継続することが前提となります。

夫婦片方の収入が大幅に減ると、ローン返済に影響が出てきます。

 

注意しておく点は、まず、融資を申し込む際は世帯の収支が将来変わることを見込んだ金額を考えておく必要があります。

例えば、子供が産まれると育児休業などで片方の収入が減ったり、進学先によって教育費が膨らんだりする可能性があります。

もちろん世帯によって異なりますが、働き方や家族構成などの変化に柔軟に対応するには、借入額は世帯年収の約5倍以内が一つの目安になります。

 

夫婦の片方が死亡した場合と生命保険

返済中に夫婦片方が死亡した場合の備えも考えておく必要があります。

住宅ローンを借りる際に債務者は団体信用生命保険(団信)に加入します。債務者が死亡するとローン残高は保険金で返済される仕組みです。

ペアローンは夫婦それぞれが団信に加入しますが、完済されるのは死亡した方の債務のみで、片方のローンは残ります。

連帯債務は原則、主債務者が団信に加入します。どちらかが亡くなってもローン残高を全額払う「連生団信」を扱う金融機関であれば連帯債務者も加入するこができます。

ただし、連生団信は上乗せ金利を負担する必要があります。

一方、連帯保証の連帯保証人は団信の対象外で、保証人が亡くなってもローン残高は残ります。

 

特にペアローンで住宅ローンを組む際には、夫婦それぞれの生命保険の死亡保障額を相手のローン残高分用意するなども選択肢になります。

団信で手当てできない金額を生命保険の保険金で支払えば、全体のローン残高をゼロにすることができます。

 

ペアローンや連帯債務で購入した自宅の所有権でも注意すべき点があります。

いずれも共有名義にすることが一般的ですが、持ち分は資金負担の割合と同じにしておくことが基本となります。

負担と持ち分の割合が違うと、夫婦の間で住宅資金を贈与したものとみなされて、贈与税の対象になる可能性があります。

 

夫婦で住宅ローンを組む方法

ペアローン 連帯債務 連帯保証
借り方と返済義務 夫婦が1本ずつ契約し、それぞれが債務者になる 1人が主債務者、もう片方が連帯債務者 1人が債務者、もう片方が連帯保証人
互いに相手の連帯保証人になる 2人同等に返済義務 債務者が返済できない場合は、保証人に返済義務
住宅ローン控除 2人分利用可能 2人分利用可能 債務者のみ利用可能
所有権 共有名義 共有名義 債務者のみの名義
団体生命保険への加入 それぞれ加入 主債務者が原則加入

連帯債務者が加入できる場合もある

債務者が加入

連帯保証人は加入できない

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