棚卸資産の付随費用は一括で費用処理|付随費用の金額が購入代価のおおむね3%以内
例)
Q)
仕入全てを本社で一括仕入れを行い、検収し選別して各支店に発送する場合の支払運賃や運送保険料等は、仕入商品の取得価額に含める必要があるのか?
A)
支払運賃、運送保険料等の付随費用の総額が、その仕入商品の購入代価のおおむね3%以内である場合には、取得価額に算入せず、支出した期の費用として損金算入できます。
上記のような費用は、棚卸資産の取得価額に算入されますが、重要性の原則の観点から、次の付随費用については、これらの費用の額の合計額がその仕入商品の購入代価のおおむね3%以内である場合には、取得価額に算入しなくてもよいことになっています。
【付随費用の内容】
1.買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
2.販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造り費等の費用の額
3.特別の時期に販売するなどのため、長期間にわたって保管するために要した費用の額
【付随費用をその期の費用処理することの効果】
支払運賃や運送保管料等の合計額が仮に、200万円、当期に仕入れた商品のうち、30%が期末在庫(売上原価は70%)となった場合
・付随費用を支出事業年度で損金算入・・・・200万円
・棚卸資産に含めた場合・・・・・200万円×70%=140万円
・付随費用支出事業年度の所得の差額・・・・(200万-140万)=60万円
・法人税の差額・・・・60万円×実効税率35%と仮定=21万円
【参考:法人税基本通達5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額】
5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要した全ての費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。
(1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
(2) 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
(注)
1 (1)から(3)までに掲げる費用の額の合計額が少額かどうかについては、事業年度ごとに、かつ、種類等(種類、品質及び型の別をいう。以下5-2-9までにおいて同じ。)を同じくする棚卸資産(事業所別に異なる評価方法を選定している場合には、事業所ごとの種類等を同じくする棚卸資産とする。)ごとに判定することができる。
2 棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3)に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。